行政書士の歴史

行政書士のルーツ

行政書士のルーツは、1872年(明治5年)の太政官布告無号達にて発せられた司法職務定制とされています。

証書人、代言人、代書人の職業が制度として定められており、証書人は現在の公証人、代言人 は現在の弁護士であり、代書人が、現在の司法書士および行政書士でした。
つまり、現在の司 法書士と行政書士は、同一の代書人として規定されていました。

代書人制度において、 訴状などの裁判書類などの作成を主たる業務とするのか、その他一般の文書や図面作成を主た る業務とするのかによって職務領域が分かれていたようです。

訴状などの裁判書類な どの作成を行っていた代書人が、後の司法書士のルーツになって、その他一般の文書や図面作 成を主たる業務としていた代書人が、後の行政書士のルーツになっています。
代書人のうち、 市町村役場、警察署等に提出する書類の作成を業とする者は、行政代書人として活動を行って いました。

1919年(大正8年)4月、司法代書人法(現在の司法書士法)が制定され、翌1920 年(大正9年)11月25日に代書人規則(現在の行政書士法)が制定されました。
現在 の司法書士法3条、行政書士法1条の2第1項に相当する条文ができ、司法代書人、行政代書 人の職務範囲が法定されました。



行政書士法の成立

戦後、代書人規則は、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法 律」により、1947年(昭和22年)12月に失効しました。

その後、国民の便益に向け法制化を求 める社会の動きを受け、1951年(昭和26年)2月10日、行政書士の制度を定め、その業務の適 正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資す ることを目的(行政書士法1条)とした「行政書士法」が成立し、同月22日法律第4号として 公布され、3月1日に施行されました。

このようにして行政書士制度は発足し、数次の法改正 を経て現在に至っています。 そして1951年(昭和26年)に行政書士法が公布され、2011年(平成23年)で60周年を迎える ことになり、現在に至ります。



これからの行政書士に望まれること

行政書士の強みは、何といっても非常に広範な業務範囲を有していることです。そして、そ れを活かして、これまでも国民の利便性という現実の要請の観点から、新しい業務を開拓して きました。現在では、決して単なる代書屋にとどまらず、今後も新しい業務を開拓していくこと が望まれています。

2011年(平成23年)に起こった東日本大震災では、地震直後から日本行政書士会連合会を中 心に、行政書士が被災者支援のためにさまざまな取り組みを行ってきました。
2011年(平成23年) 10月には、日本行政書士会連合会は、東日本大震災及び福島原発事故による被災者の生活再建 と被災地の復旧・復興に対する支援策の一環として福島県郡山市に「日本行政書士会連合会被 災者相談センター」(福島事務所)を開設しました。

同センターは、2012年(平成24年)4月か ら毎月1回、仮設住宅を訪問し、無料相談を実施しています。被災から1年以上が経過した現在、 無料相談には、原子力損害賠償請求をはじめ相続問題、被災自動車の抹消登録・自動車税還付 手続、外国人在留問題その他の生活問題に関する相談が寄せられています。

熊本地震に 対する大規模災害対策本部を立ち上げ、被災地の行政書士会において、自治体と連携して羅災 証明書の発行について支援業務等を行う活動を行っています。 このように時代のニーズに合わせ、行政書士の社会的責任は非常に重要なものとなっていま す。



参考文献
東京リーガルマインド 2017士業最前線レポート 行政書士編
https://www.lec-jp.com/gyousei/about/pdf/frontline/frontline01.pdf
日本行政書士会連合会HP
https://www.gyosei.or.jp/information/introduction/consists.html

2019年12月20日